外国人が農地を購入する際のポイント

日本の農地は農地法で守られています。

そのため、農地を売買したり、賃貸したりする際には、注意が必要です。

先日、

「外国人も、農地を購入できるの?」

というご質問をいただきました。

結論は、外国人も農地を取得することができます。

参考にしていただけたら幸いです。

農地を農地のまま、売買する場合 <農地法第3条許可>

上の図のように、農地を農地として利用する目的で、売買する場合です。

この場合、農業委員会の許可を得なければなりません(農地法第3条許可といいます)。

この許可を得るためには、以下の基準を満たせばOKですが、見てみると、国籍についての記載はありあせん。

農地法第3条許可基準
①譲受人(Bさん)またはBさん世帯員が、耕作の事業に供すべき農地の全てを効率的に利用すること(全部効率利用要件)
②譲受人(Bさん)が法人の場合は、農地所有適格法人の要件を満たしていること
③農地の取得目的が信託の引き受けではないこと
④譲受人(Bさん)またはBさん世帯員が、年間150日以上、耕作の事業に常時従事すること(常時従事要件)
⑤転貸しないこと
⑥周辺の農地に支障を生じさせないこと

そのため、譲受人(Bさん)が外国人であるからといって、許可が得られない訳ではないのです。

ただ、農地を購入するには「農地の全てを効率的に利用すること」や「年間150日以上、耕作の事業に常時従事すること」が求められており、Bさんが就農している必要があります。

そのため、譲受人(Bさん)が就農者として認められることがポイントになります

個人が、新規で就農者として認められるには、各農業委員会によってそれぞれ定められています。

例えば、豊田市ですと、1,000㎡以上の土地を借りて5年間(※)しっかりと耕作し、農業委員会に申し出て、承認されると、就農者として認められ、農地法第3条の許可申請を行い農地を購入するうことがきます。

※5年間が3年間に緩和される要件もあるので、ご興味があれば、「新規就農者(個人)が農地を借りる・買うには」をご参照いただけたら幸いです。

すでに農業に従事されている外国人であれば、上の許可基準を満たせば、農地を取得できます。

私が依頼を受けた案件ではこの許可基準を満たしていたので、在留カードのコピーを追加で提出するだけでした。

参考までに、以前は「譲受人(Bさん)または譲受人(Bさん)世帯員が、50aまたは農業委員会が定める面積以上の農地面積を耕作していること」が条件でしたが、令和5年4月1日の農地法改正で削除されました。

農地を農地以外のものにする目的で、売買する場合<農地法第5条許可>

上の図のように、農地を農地以外のものにする目的で売買する場合です。

この場合、都道府県知事等の許可を受けなければなりません。(農地法第5条許可といいます)。

農地法第3条許可と同様、この許可を得るためは、基準を満たせばOKですが、この基準の中にも、国籍についての記載はありあせん。

農地法第5条許可基準
①申請者に資力および信用があること
②この農地を転用するにあたり妨げとなる権利を有する者の同意があること
③おおむね1年以内に申請した用途を実行する見込みがあること
④他法令(都計法など)の許可見込あること
⑤一体として利用する他の土地の利用見込みがあること
⑥面積が適正であること
➆この農地が造成のみを目的とするものでないこと
⑧土砂の流出や排水、日照等、周辺へ支障を及ぼさないこと

そのため、譲受人(Bさん)が外国人であるからといって、許可が得られない訳ではありません。

ただ私が申請した案件では、在留カードのコピーが市町村と土地改良区双方で求められました。

また、表を見ると、「①申請者に資力および信用があること」が求められています。

例えば、太陽光発電設備の場合、土地の売買代金と設置にかかる費用があるのかを示す書類として、融資証明書や残高証明書の提出が求められます。

法人様の場合は決算書、個人事業主の場合は確定申告の控えで代用することもできます。

まとめ

外国人でも、日本人でも、許可基準を満たせば、農地を購入したり賃貸する許可を得ることができます。

まずは、その農地のある市町村の農業委員会にお問合せいただければ、どのようにすればいいのか教えてくれます。

何か困ったことがありましたら、当方までお問合せいただければ幸いです。