【国際相続】外国人の相続が難しくなるのは、どんなとき?

国際相続は、大きく分けて3つのパターンがあります。

日本に住む外国人が亡くなった場合と、②相続する遺産が外国にある場合、そして③被相続人が日本人で、遺産も日本にあり、相続人に外国人がいる場合です。

その中で、手続きが難しくなりやすいのは①と②です。

理由は、準拠法を特定しなければならず、その特定された法律に則って手続きをしなくてならないからです。

③は、日本の法律に則るので、それほど難しくありません。、

日本で暮らすアメリカ人が亡くなり、アメリカに遺産がある場合を考えてみます。

国際相続が発生した場合、まず「法の適用に関する通則法」を調べます。

「相続は被相続人の本国法による」

                     法の適用に関する通則法36条

とあるので、アメリカの国際私法を調べる必要があります。

そこで、連邦憲法修正10条を見てみると

「憲法によって合衆国にゆだねられていない権限、憲法によって州に対して禁止されていない権限については、各州または人民に留保されている」

連邦憲法修正10条

とあるため、州によって法律が異なるアメリカでは、まずどの州を準拠法とするのかを特定しなければなりません

また、アメリカは、不動産と動産を区別して準拠法を決める相続分割主義をとっており、不動産についてはその不動産所在地法を、動産については被相続人が死亡時にドミサイルを置いていた地の法律を適用することになります。

また、日本とは相続の方法が異なるので、さらに難しくなります。

日本の相続方法は、包括主義といって、すべての財産を相続人が引き継ぎます。

しかしアメリカなど英米法の国では、清算主義といって、相続財産はいったん、遺産管財人または遺言執行者に帰属します。

そこで財産の清算が行われ、プラスの財産があれば、相続人に引き継がれ、マイナスの財産しか残らない場合は、債権者への弁済が行われ、相続人が継承することはありません。

国際相続は、被相続人の国籍、相続財産の場所、相続人の国籍などによって、ケースバイケースですし、言葉の壁もあるので、複雑かつ時間がかかります。