市街化調整区域の農地でカフェをオープンしたい!場合のポイント

以前、市街化調整区域で事業を始めるにあたって、農振除外が必要となる場合のポイントについてのブログを掲載しました。

詳しくはこちら「市街化調整区域で事業を始めたい!農振除外が必要となる場合のポイント」をご参照いただけたらと思います。

今回は、農振除外が不要の場合の市街化調整区域の農地で、カフェをオープンしたい、という設定でポイントをまとめてみました。

ポイントとなるのは以下の法律です。

  • 都市計画法第34条
  • 農地法

農振除外が不要の場合、ハードルがグンと下がります。

参考にしていただけたら幸いです。

都市計画法第34条について

市街化調整区域とは、その区域では市街化を抑制しましょうと、と法律で決められた区域です。

市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする

都市計画法第7条第3項

そのため、市街化調整区域で建物を建てるには、規模にかかわらず、原則として、都道府県知事の許可が必要となります。

カフェで許可を得るためには、周辺の地域において居住している者の日常生活のため必要な自己の業務の用に供する店舗等であることを前提に、以下の要件すべて満たしたうえで、建築許可申請を行います。

①店舗等の用途は、別表に揚げるものとする。ただし、「風俗営業等の規制及び業務の適正化に関する法律」に規定する風俗営業及び性風俗関連特殊営業等に揚げる用途に供しないものであること

「用途は別表に揚げるものとする」とあるので別表を見てみると、業種「食堂等飲食店」の中に喫茶店があるので、カフェも大丈夫です。

注)喫茶店は、「主としてアルコールを含まない飲料を飲食させるもの」となりますので、カフェもアルコールはNGとなります。

②申請地は、市街化調整区域の既存集落内の建物の敷地から50メートル以内にあること

「既存集落」とは、半径300メートルの円内に100戸以上の建築物があるもの、又は50戸以上の建築物が連たんしているものをいいます。

「建物が連たんしているもの」とは、建築面積が30平方メートル以上の建築物があり、その建築物の敷地間の距離が55メートル以内であることをいいます。

 申請する際には、都市計画図で50戸数えて、色塗りすることが求められます。

③申請地の規模は、500平方メートル以下であること

申請地が501平方メートル以上あると、分筆して500平方メートル以下にする必要があります。

例えば、下の図のように、5番という地番の600㎡の土地を5番1の300㎡と5番2の300㎡(200㎡と400㎡でもOK)のように分けます。

土地家屋調査士に依頼して行いますが、測量をしてから登記するまで1か月半から2か月ほどかかるので、スケジュールを組む際には注意が必要です。

④敷地の形状は、原則として延長敷地形態でないこと

延長敷地とは、下図のように、敷地を延長して道路につなげた土地のことをいいます。

原則、このような形状の敷地は認められませんが、やむをえない場合は幅員を6m以上にすることが求められます。

⑤建物の延べ面積は300平方メートル以下であること

⑥建物の高さは、10メートル以下であること

➆共同建て及び長屋でないこと

⑧店舗等の管理施設及び倉庫の規模は必要最小限とすること。なお、管理施設の規模は20平方メートル以下であること。また倉庫と管理施設の合計面積は、建築物の延べ面積の2分の1を超えないこと

「店舗等の管理施設」とは、事務室、休憩室、従業員用トイレ等とします。

厨房は含まれません。

⑨居住施設を含まないこと

「店舗併用住宅は可能でしょうか?」

というお問合せをいただいたことがありますが、店舗併用住宅は認められておりません。

今回の農地という設定からはそれますが、市街化調整区域の中でも、昔から宅地であった場所で、要件を満たせば、店舗併用住宅を建てられる可能性はあります。

⑩開発又は建築若しくは用途変更を行うために他法令による許認可等が必要な場合は、その許認可等が受けられるものであること

他法令による許認可等としてあげられるのが、「農地法」や「条例」です。

「農地法」は次の章で述べますが、「条例」は例えば、愛知県長久手市の、「長久手市美しいまちづくり条例」があります。

この条例では、都市計画法による建築許可の申請前に、開発協議検討会に開発協議書を提出し、市と施主との間で開発協議協定を締結することが求められています。

農地法について

地目が「畑」や「田」になっている農地に、カフェを建てる場合、地目を「宅地」に変更する必要があります。

農地法では、市街化調整区域でこの変更を行うためには、都道府県知事等から許可を得る必要があると定められています。

この許可を受けるための申請には2種類あります。

  • 農地法4条申請
  • 農地法5条申請

農地の所有者(農家)が、自らの農地の地目を変えて自らカフェを建て、自ら経営する場合は「農地法4条申請」となります。

農地の所有者(農家)から土地を買い取ったり(所有権移転)、借りたり(賃貸借の設定)して、別の所有者がカフェを経営する場合は「農地法5条申請」になります。

最後に

都市計画法による建築許可申請と農地法の申請は、同時申請同時許可となっています。

また、農地法の申請はいつでも受け付けてもらえるわけではなく、毎月8日や毎月第1水曜日など自治体によってさまざまです。

受付日を過ぎると、次の受付日まで待たなければならなくなるので、申請先の自治体に確認していただけたらと思います。