市街化調整区域で事業を始めたい!農振除外が必要となる場合のポイント

最近、立て続けに、

「市街化調整区域で事業を始めたいのですが、できますか?」

という問い合わせや、事業を始める候補地を調べてみたら、市街化調整区域だったということがあったので、どのような場合に、市街化調整区域が問題になるかについて、まとめてみました。

市町村によって条件等々異なるので、参考程度にしていただけたら幸いです。

また、分かりやすくなるよう、細かなことは省いて、おおよその一般論を記載しております。

ご了承いただけたら幸いです。

市街化調整区域とは?

市街化調整区域とは、その区域では市街化を抑制しましょうと、と法律で決められた区域です。

市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする

都市計画法第7条第3項

そのため、市街化調整区域で建物を建てるには、規模にかかわらず、原則として、都道府県知事の許可が必要となります。

逆に言えば、都道府県知事の許可が出て、市街化調区域の地目を建物を建てられるものに変更できれば、そこで建物を建て、事業をすることが可能となります。

問題となるのは、市街化調整区域の中でも、市町村の「農業振興地域整備計画」において「農用地区域」と定められている区域です。

この「農用地区域」では、将来的に農業上の利用を確保することを目的として、原則農地転用が禁止されています。

そのため、市街化調整区域の中で、「農用地区域」になっている地域では、地目を農地から宅地に変更することができす、建物を建てられません。

しかし、禁止されているからすべてアウトというわけでなく、要件を満たせば、住宅等の用地として認められるケースがあり、それが農振除外(「農業振興地域整備計画」の変更手続き)といわれるものです。

農振除外を行う5つのポイント

農振除外をするためには、次の5つのポイントを満たすことが必要となります(5要件といわれるものです)。

①その土地を農振除外により、農用地等以外の用途にすることが「必要かつ適当」であり、「他の土地で代えることが困難」なこと

ポイントは以下の2点
・「必要」とは具体的で緊急性があること、「適当」とは他の法令(農地法や都市計画法等)の許可が得られる見込みがあることを指します。
・「他の土地で代えることが困難」は、ここでないとダメな理由を説明します。

②農振除外により、農用地区域内の農用地の集団化、農作業の効率化及び土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障がないこと

・例えば、農用地が広がるど真ん中の1区画だけポツンと用途変更することは認められません。農用地の周辺部や、集落からの距離が求められる場合もあります。

③変更により、農用地区域内における効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農用地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがないと認められること

・除外する面積が必要最低限であり、農用地一体の中で、例えば3割以上減少しないなどです

④土地改良施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないこと

・農用地を住宅等の用地にすることで、農業用排水施設を分断したり、阻害したりしないこと

⑤農業生産基盤整備事業完了後8年を経過しているものであること

これは、数字上の問題だけなので、市町村に問い合わせすればOKです。

私の調べた市では、すべての農用地が8年経過していたので問題なしでした。

まとめ

行政(都道府県や市区町村)が、農振を設定しているのは、農業用地を確保のためです。

そのため、農業用地の用途を変更するのには、それ相応の理由が必要となってきます。

例えば、

「親の土地だから、ここでカフェをしたい!」

というのは、事業者側の都合で、行政側には関係なく、簡単に認めるわけにはいかないので、上記の5つのポイントに注意しながら書類を整え、市町村に農振除外の申し出をします。

申出がされると、市区町村が県や関係団体と調整協議を行い、県の同意を得らえた場合のみ、農振除外が認められ、農地転用の手続きが可能となります。

申出をすればすべて認められ、農振除外が認められるとは限らないので、注意してください。

詳しくは、その農用地がある市区町村の「農業委員会」に相談されることをお勧めします。